高野山は平成16年(2004)に世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一部。樹齢数百年にも及ぶ杉がそびえる厳かで神秘的な雰囲気は訪れる人々の心を惹きつけてやまないパワースポット。令和5年(2023)は真言宗を開いた弘法大師こと空海の生誕1250周年。そこで高野山の見どころとおすすめの宿坊、そして高野山を訪ねるバスツアーについて紹介します。
目次
高野山とは?
真言宗の総本山・高野山。平安時代の弘仁7年(816年)に嵯峨天皇から空海(弘法大師)が下賜され、修禅の道場として開きました。明治以前は高野山全体が「総本山金剛峯寺」とされていて、「一山境内地」とされていました。山内に点在するお寺は、塔頭寺院といいます。山内は「奥之院」と「壇上伽藍」が二大聖地。今も人々の信仰を集めています。
高野山の見どころ
壇上伽藍 根本大塔
壇上伽藍は主要な法会の行われる高野山の中心です。空海が真言密教の根本道場を開くにあたり最初に整備に着手した場所で、密教思想に基づく塔・堂の建立に心を砕きました。壇上伽藍は「胎蔵曼荼羅」の世界を表しているといわれています。
根本大塔は真言密教の根本道場におけるシンボルとして建立されました。大日如来を本尊として、周囲を金剛界の四仏が取り囲んでいます。また16本の柱には十六大菩薩が、四隅の壁には密教を伝えた八祖(はっそ)像が描かれていて、曼陀羅の世界を立体的に表現しています。
奥之院
奥之院は空海の入定の地であり、弘法大師御廟は大師信仰の中心聖地です。一の橋から弘法大師御廟まで約2キロメートルの道のりには、皇族、諸大名をはじめ、文人や庶民にいたるまで、あらゆる階層の人々の墓石や祈念碑、慰霊碑が約20万基を超えて、樹齢千年に及ぶ杉木立の中に立ち並んでいます。
金剛峯寺
高野山真言宗の総本山。文久3年(1863)に再建された主殿は東西三十間、南北三十五間の書院造建築です。屋根は檜の皮を何枚も重ねた檜皮葺となっていて、天水桶と呼ばれる桶が置かれています。
この桶は重要な普段から雨水を溜めておき、火災が発生したときに、火の粉が飛んで屋根が燃えあがらないように桶の水をまいて湿らし、少しでも類焼を食い止める役割を果たしました。
法事・儀式が行われる大広間には狩野法眼元信の筆と伝えられる襖絵「松に群鶴」が、梅の間には狩野探幽斎守信の筆と伝えられる「梅月流水」が、文禄4年(1595年)に豊臣秀次が自刃した柳の間には柳の間には山本探斉による柳鷺図(りゅうろず)が、それぞれ描かれています。
高野山霊宝館
高野山霊宝館は、こうした高野山内の貴重な文化遺産を保存展観する施設として大正10年(1921年)に有志者の寄付と金剛峯寺によって開設されました。
宗祖弘法大師御誕生1250年記念大法会
弘法大師が生まれて1250年という節目の年にあたる令和5年(2023)。「いのちよ輝け~大師の みこころと共に~」のスローガンのもと大法会が開催され、全国各地から集まった伝道団による報恩法会が執り行われます。法会の出仕者である職衆とともに稚児行列が練り歩きます。
記念大法会は令和5年5月14日(日)~7月9日(日)にかけて開催。期間中、金剛峯寺では弘法大師坐像の特別公開が行われます。
高野山へ行く観光列車 南海電鉄「天空」
大阪市内と高野山を結ぶ南海電鉄の観光列車です。2両編成で山岳区間の風景を大切にし、森林をイメージした深いグリーンと、高野山にある根本大塔をイメージした朱色のラインを基本とした車体カラー、車内には展望デッキも設けられています。
運行日
「天空」の運行日は下記の通りです。
【3月~11月】水曜日・木曜日を除く毎日運行
※ただし水曜日・木曜日が休日の場合は運行
【12月~2月】土・休日のみ運行
※年末年始(12月30日~1月3日)は運行
運行本数
【3月~11月の土・休日】1日3往復
【3月~11月の平日 ならびに 12月~2月の土・休日】1日2往復
高野山観光におすすめの切符「高野山・世界遺産きっぷ」
下記が含まれた2日間有効の切符です。
- 電車割引往復乗車券 南海電鉄 発売駅⇔高野山駅
- 高野山内バス2日フリー乗車券 南海りんかんバス(ただし、立里線、高野・龍神線、高野・丹生都比売線は除く)
- 【特典】拝観施設割引サービス券 金剛峯寺、金堂、根本大塔、霊宝館
- 【特典】お土産1割引サービス券 珠数屋四郎兵衛、中本名玉堂、高野茶屋 和久
宿坊に泊まろう!おすすめの宿坊厳選5選
宿坊はお寺などで僧侶や参拝者のための宿泊施設。それぞれ異なった趣向を持っています。それぞれの宿坊では精進料理を味わえたり、朝のお勤めや坐禅を体験できたりするところも。お寺に泊まることで非日常を感じることができて日々の疲れも取れて心身ともリフレッシュできます。高野山には現在では、117の寺院があって、52の寺院が宿坊を設けています。
高野山温泉福智院
高野山で唯一、天然温泉がある宿坊。井伊直弼をはじめとする諸大名の遺品や奈良時代の古美術品などを所蔵しています。昭和を代表する名作庭家であった重森三玲氏が手がけた3つの日本庭園は見応え抜群。夜はライトアップも行われます。
住所:和歌山県伊都郡高野町高野山657
アクセス:ケーブルカー高野山駅より南海りんかんバス奥の院・大門行きに乗車、「警察前」バス停下車
総持院
門前に七堂大伽藍を控え、東は總本山金剛峯寺に隣接する立地。木の香りと庭園の静けさに包まれた寺院ならではの荘厳なたたずまいで客室からは様々な景色を楽しめます。
住所:和歌山県伊都郡高野町高野山143
一乗院
歴史ある格式高い佇まいと絶品の精進料理が人気の宿坊。寺院ならではの良さと高級旅館に匹敵するサービスが支持されています。錦鯉の遊泳する泉水庭園も魅力です。
住所:和歌山県伊都郡高野町高野山
アクセス:高野山駅よりバスで約10分
天徳院
加賀百万石・三代藩主前田利常公が正室珠姫の菩提のために建立しました。国指定重要文化財の庭園を総檜造り書院風客室から眺めることができます。
住所:和歌山県伊都郡高野町高野山370番地
アクセス:高野山駅より南海りんかんバス乗車、「千手院橋」バス停下車 徒歩3分
遍照光院
白河上皇の御座所となった寺院。快慶作の阿弥陀像をはじめ数多くの国宝・重文指定の宝物があり観賞できます。部屋は金襖の入った新しい明るい庭園に面したものです。フランス大使もよろこんだ精進料理を楽しめます。
住所:和歌山県伊都郡高野町高野山575番地
アクセス:高野山駅よりバス、「蓮花谷」バス停下車→徒歩約1分
高野山を訪ねるバスツアー
弘法大師生誕1250年記念ということで高野山を訪れるバスツアーもあります。名古屋発着の日帰りバスツアーがこちら。
[弘法大師御誕生1250年記念] 幸福へと導く神仏習合の聖地「丹生都比売神社 (にうつひめじんじゃ)」と専門ガイドと巡る高野山「奥の院」
バスツアーで高野山ともに訪ねる丹生都比売神社は紀伊国一之宮で世界遺産の構成資産。約1700年以上前の創建といわれています。空海が金剛峯寺を建立するときに、丹生都比売大神が神領を寄進したという「土地譲り」の伝説がある高野山ととっても関係が深い神社。
本殿四殿は春日造りで日本最大級の規模。丹生都比売大神(にうつひめのおおかみ)、高野御子大神(たかのみこのおおかみ)、大食都比売大神(おおげつひめのおおかみ)、市杵島比売大神(いちきしまひめのおおかみ)をそれぞれ祀っています。楼門とともに国指定重要文化財に指定されています。
高野山に参拝する前に、まず丹生都比売神社に参拝する習わしであったといわれています。高野山からの影響を強く受けていて、境内には多くの仏教系の遺跡・遺物が残っています。
高野山・奥の院では現地専門ガイドまたは音声ガイド機付き。神秘的な雰囲気に包まれた高野山の魅力の奥の深さを感じることができます。名古屋滞在中の参加もおすすめです。
まとめ
大阪市内からは日帰りで足を運ぶことももちろん可能な高野山。しかしせっかくなら宿坊に宿泊して、日常を離れたひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。真言宗開祖の弘法大師生誕の節目にあたる年に受け継がれてきた信仰と伝統を感じながら、日常の喧騒から離れた癒しとくつろぎのひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。